ビフィズス菌と認知機能の研究:MCC1274で分かったこと、分からないこと

ビフィズス菌の研究結果を読むときは、「どの菌株を、誰に、どの条件で試したか」が出発点です。ビフィズス菌という名前が共通していても、すべての菌や市販製品が同じ働きをするとは言えません。

調べたのは、特定の菌株と特定の対象者

2022年に報告された研究は、軽度認知障害が疑われる65~88歳の130人を対象とした、24週間の無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験です。使用されたのは、Bifidobacterium breve MCC1274という特定の菌株でした。主な解析対象は115人です。原論文、大学の発表

一部の結果と、総合的な改善は分けて読む

原論文では、ADAS-JcogとMMSEの総合得点について、群間の有意差は認められていません。一方、見当識など一部の項目や、あらかじめ認知機能が低めだった下位群の解析で差が報告されています。画像評価の結果もありますが、それだけで認知症の発症予防が証明されたことにはなりません。原論文の結果

「一部の検査項目に差があった」と「認知機能全体が改善した」、さらに「認知症を治療・予防できる」は、異なる主張です。研究紹介では、この段階を飛ばさないことが必要です。

市販製品へ置き換える前に、三つの境界がある

一つ目は菌株です。ビフィズス菌全般と、研究で使用されたMCC1274を同一視できません。

二つ目は対象者です。この試験の対象集団から、健康な若年者や、診断・状態の異なる人への結果まで保証することはできません。

三つ目は製品と条件です。市販の整腸薬、食品、別のサプリメントが、この試験の介入と同じであるとは限りません。したがって、ビオフェルミン等で代用できるという結論は、本研究からは出せません。

この研究は、特定条件での検証結果として読むべきものです。記憶や生活上の変化が気になる場合、食品やサプリメントの選択だけで対応を完結させず、医療機関への相談を検討してください。本記事は治療や摂取量を提案するものではありません。